英国再訪〜パブで麦酒を飲る

 

 

2004年、ほぼ10年振りにロンドンを再訪する。
さして酒飲みではない私でも、こうした看板を眺めては、入らざるを得ない。かつて探偵小説をこよなく愛する少年が夢見た「パブで麦酒をちびちび飲る」というやつである。

ロンドンのパブの名前は、我々の感覚からするとかなり変わっている。  「ヨーク公爵」とか「やまあらし」とか「牛と口」とか、そういう言語感覚はイギリスならではのものである。同じアングロサクソンと言っても、ニューヨークのパブにはあまりこういうものはない。

 

英国の風物を書いた本では、イギリスのパブではぬるいビールをちびちび飲む、などとよく言われている。

いわゆるビターというやつである。日本のビールはラガーというタイプで、炭酸が強く冷やして飲むが、ビターは炭酸が少なく、あまり冷やさないで飲むタイプなのである。

ビターを1パイント、そしてキドニーパイ(牛の腎臓と肉のシチューをパイで包んだもの)を頼む。

この世は極楽である。

 

 

右が「牛と口」の看板である。確かに、牛の下にはでかい口の顔がある。由来は...よくわからん。

とりあえず、ビターを飲み、フィッシュ&チップス等をつまむことで、私のロンドンでの時間は過ぎていく...。
と、言いたいところだが、普段出不精な反面、一度旅に出ると私はやたらと動き回る。

下はシェイクスピアを毎日上演している「グローブ・シアター」である。
グローブ(球体)というだけあって、確かに円形の劇場なのだ。

 

ビールでほろよいの私は、立ち見で芝居を見る。
「から騒ぎ(Much Ado About Nothing)」をやっているのだが、実はこの戯曲は読んだことがないので、とりあえず気分に浸っていた。

そして「シャーロック・ホームズ」の名前を冠したレストランやパブにはとりあえず入ってみた。
そう、かつて中学生の私は、パイプをくわえてホームズ譚に読みふけっていたのだ。

小学生の時に「ドリトル先生物語」やアーサー・ランサムの小説でイギリスにあこがれ、そして中学に入り、クリスティーやコナン・ドイル、そしてマイナーな英国探偵小説の世界にどっぷり浸った私は、いつもイギリスに行きたいと思っていた。

大学に入ると、アメリカン・ロックやアメリカの小説の影響を受けるようになり、その後アメリカにいく機会は何回もあったのだが、ついぞイギリスに行く機会はなかった。95年、そして2004年のイギリス旅行は、私にとって積年の借りを返す旅だったのだ。

 

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