石畳の上の時の足跡

 

暗い路面と崩れかけた灰色の街並み 

命あるものの音は聞こえない 

誰もいない無音の世界

 

鳥のさえずりも子供達の笑い声も 

風の音も水の音もしない

誰もいない無音の世界

 

路には泥の足跡がふたつ 男の子と子犬の足跡

それは密やかな命の名残

柔らかな陽の光が差し込み 男の子と子犬の残像が浮かぶ

触ると壊れそうな幻

 

陽の光は音を立てず、ただ燦燦と降り注ぐ 足跡はやがて緑に変わる

淡いパステルカラーの緑 路はいつしか苔むした石畳に変わる

 

廃墟の街も太陽を浴びてまどろむ 朽ち果てた樹々に新しい芽が

淡いパステルカラーの緑 街の灰色は彩られて温かみを帯びる

 

今はまだ声を立てず そっとそぅっと息づいている

足跡から広がった緑は いつか男の子と子犬の残像さえも包み込む

そこに命の暖かさが生まれる その時またこの世界に音が甦る

 

鳥のさえずりも子供達の笑い声も 風の音も水の音も甦る

そして音楽が再び鳴り響く

 

今はまだ声を立てず そっとそぅっと息づいている

誰も、誰もいない無音の世界

ずっと昔に眠りについた 時の足跡

 

作詞:高崎勇輝
©2005 BY STUDIO-G  ALL RIGHTS RESERVED

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