MADE IN JAPAN
(ライヴ・イン・ジャパン)

Deep Purple

Made in Japan

Highway Star
Child In Time
Smoke On The Water
The Mule
Strange Kind Of Woman
Lazy
Space Truckin'

1972年
Warner Brothers
Cover Design by R. Glover
Photo by F. Costello

70年代〜80年代にギター・キッズといわれた少年達のおそらく大多数はこのレコードを耳にしているはずである。
ディープ・パープルの圧倒的な演奏力を盤面に刻み込んだこの「ライヴ・イン・ジャパン」は、リッチー・ブラックモアの狂気に満ちたギターワークと、それを時に支え、時には煽り立てるジョン・ロードを始めとするバンドの面々が築く圧倒的な音の壁を、イアン・ギランのシャウトが切り裂く理想的なハード・ロックのライヴなのだ。

50メートル走のタイムが少しずつ縮んでいくのと同じように、ギタリストのスピードという意味でのテクニックはどんどん向上してきた。そういう意味ではリッチーは最早「神」ではないのだが、この演奏を聴くと彼はそういう次元ではないところで未だに君臨しているのがよくわかる。

冒頭でフェードインしてくる歓声と、メンバーの手慣らしのプレイ、ジョン・ロードのファンファーレ風のオルガンを追ってリズムを刻み始めるペイスのスネアと、徐々に興奮が高まっていく。 そしてギランが叫ぶ 「A song called "Highway Star" ! Yeah!」 そこから音の奔流はハイウェイを走り始める。ドライヴするドラムとベースをタイヤに例えるなら、ジョン・ロードのオルガンはエンジンの咆哮であり、リッチーのギターは飛び散る火花である。

ねちっこいギランのヴォーカルと、ギター/オルガンのバトルの対比が印象的な"Child in time"、ハードロック・ギターを弾き始めた少年がこのリフは必ず弾いてみたはずの"Smoke on the water"と、最後の"Space Truckin'"まで息もつかせぬ熱演が続く。

"俺達はジュネーヴ湖の湖畔にあるモントルーまでやってきた。移動スタジオでレコードを作るのさ。あんまり時間もなかったんだ。
フランク・ザッパとマザーズがそこらで一番いいところを押さえてた。だけどいかれた奴らが照明弾をぶっぱなして、建物を灰にしちまった。
湖上に漂う煙 空へと立ち昇る炎 湖上に漂う煙....” (Smoke On The Water/by Blackmore/Gillan/Glover/Lord/Paice/高崎勇輝訳)

ハードロックは基本的に"キッズ"の音楽である。このアルバムを聴いている時に、かつてのギター・キッズは少年に帰るのだろう。 そして今では、当時のレコードには収められなかった完全版を聞くことができる。 それは心が躍る瞬間である。
そして、まだこのアルバムを聴いたことのない人は、ロックに精神性ではなく肉体的な躍動感を求める時に手にとって見て欲しい。 そう、ジャズだってロックだって、頭使うよりそしてオシャレであるよりも 、この手の中の楽器から素敵な音を響かせてナンボってところは確かにあるのだ。

 

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