WARMER
(アメリカン・モーニング)

Randy Vanwarmer

American Morning

Losing Out On Love
Just When I Needed You Most
Your Light
Gotta Get Out Of Here
Convincing Love
Call Me
Forever Loving You
Deeper And Deeper
I Could Sing
The One Who Loves You


1979年
Beasville Records
Photo by Aaron Ropoport
Art Direction by Desmond Strobel

ランディ・ヴァンウォーマーは多くの人に"Just When I Needed You Most"(邦題:「アメリカン・モーニング」)のみで知られるシンガー・ソングライターと言ってしまってあまり差し支えのない人である。 だってそうなんだもの。 この曲は80年代前半にスクーターのCMソングに使用され、そのガラスの様な繊細な美しさで人々の耳を魅了した。特に女性には好まれ、僕がこの曲をカーステレオでかけると、「この曲聴いたことがある〜いいよねぇ〜」という人が多かったものだった。05年にもまたクルマのCMに使用されている。

このアルバムはランディのデビュー・アルバムで、「アメリカン・モーニング」はアメリカでもゴールド・ディスクを獲得する程大ヒットし、同アルバムもそのおかげでチャートインした。彼の歌声は、The Eagles"のティモシー・B・シュミットに似て、ファルセットが美しいが少し細い。そんな訳でアップテンポの曲はどうしても合わないため、結局"Just When〜"を超える大ヒットは出せず(アメリカでは数曲小ヒットは出たが)、その後は地味に活動を続けることとなった。

"君は朝の光の中カバンに荷物を詰める。 僕は窓の外を見つめ、懸命に言葉を探す。そして君は雨の中をドアも閉めずに出て行く。 
 僕にはそれを止められなかった。 だけど前にも増して君を恋しく思う。
 僕はこれから何処で安らぎを得られるのだろう。 僕が最も必要としている時に君は去ってしまったのに。"
   (Just when I needed you most/written by Randy Vanwarmer/高崎勇輝訳)

彼の歌声やバックの演奏があまりに透明感に溢れているため、ちょっと聞いただけではわからないかもしれないが、こういう歌詞だと知ってから聞くと実に胸に沁みる。アート・ガーファンクルやティモシー・Bが好きな人は是非探してみて欲しい。 一応ベスト盤もリリースされていたので、それでも良いと思う(ベスト盤はラヴィン・スプーンフルの"Do You Believe In Magic"をジョン・セバスチャンのハーモニカ入りでカバーしたものも入っていたはずである)。

僕としてはダスティン・ホフマンの「卒業」の様にエンディングで結婚式に飛び込んでいくキャラクター(トレンディ・ドラマの大部分はそうだが)よりも、それすら出来ずに見送るだけの男の方がしっくり来る。そうじゃありませんか?

ランディは80年代の末にもアルバムをリリース、その中で「アメリカン・モーニング」を新録音していたが、僕は聞いていない。当時の僕にはそんな必要は無いと思えた程、最初のテイクは完成されていたのだ。それから更に10年以上経つが、80〜90年代は彼にとってどういう時代だったのだろう。

ジャケットは"Just when〜"の詞の世界をイメージしたものの様だが、如何にも線の細そうな彼のイメージそのままである。良くも悪くも地のままの人だということが伝わってくる。もう少しカッコつけようもあるだろうに。

そうそう、一つケチをつけるとしたら、原題とも中味とも関係のない"Just when 〜"の邦題だろうか。 

追記;ランディは2004年に亡くなったとのこと。 May he rest in peace....

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