BLUE JADE

エディ藩

Release 1982年2月21日 イーストワールド WTP-90151/ZH28-1143/TOCT-5861
Chart Action 不明。
Produced by 石坂敬一/6.のみボブ・ボーグル&ドン・ウィルソン
Engineered by 鈴木慶三/奥村誠二
Arranged by 大谷和夫/エディ藩/エディ藩&クリエイション/ベンチャーズ
Member エディ藩: Guitar, Vocal
クリエーション
 竹田和夫: Guitar
 小川ヒロ: Bass
 安藤淳: Keyboards
 アイ高野: Drums
 
ベンチャーズ (6.のアレンジを担当しているが、どの程度演奏にかかわっていたかは不明)
 ボブ・ボーグル: Bass
 ドン・ウィルソン: Guitar
  ノーキー・エドワーズ: Guitar
 メル・テイラー: Drums 
 
Songs 1.(バック・トゥ・チャイナ・タウン)/Back To China Town
2.横浜ホンキートンク・ブルース/Yokohama Honky Tonk Blues
3.Every Lonely Night
4.雨の馬車道
5.淑珍(スーザン)/Susan
6.Route 66
7.Waiting Someone(To Take My Hand)
8.サテンの夜/Night In The Satin
9.Blue Jade
 
Comments エディ藩の3枚目のリーダー・アルバム (単独名義では1枚目)。

当時松田優作のバックで共演していたクリエーションの面々が全面的にバックアップしている。

松田優作に提供した(正確には藤竜也が先の様だが)「横浜ホンキートンク・ブルース」の評判が良かったことも影響しているのか、76年以来のアルバム・リリースとなった。「横浜〜」は自身の歌で収録し、シングル・カット(B面は英語版)もされている。

また5.の「淑珍(スーザン)」も「スーザン(c/w「雨の馬車道」)としてシングル・カットされている。
「Route 66」はブリジストンのCM曲で、アルバムに先駆けシングル・リリースされた(c/w同曲のジャズ・ヴァージョン)。この曲はベンチャーズのボブ・ボーグルとドン・ウィルソンのプロデュースによるものである。

音作りはシティ・ポップス系のサウンドである。
当時のプロデュース方針ではエディをAOR的なヴォーカリストとして売り出そうとしていたのかもしれない。80年代前半は日本に限らず、サウンドがお洒落になりつつあった時期で 、元々南部系R&Bシンガーだったボズ・スキャッグスが白いスーツをまとって大ヒットを飛ばしていた時代である。日本のR&Bミュージシャンの草分けとも言えるエディを同じ路線で再生しようと 考えたとしたら、それはそれでわかる。
当時のクリエーションの音楽性を反映してか、良く整理されたアレンジのサウンドである。竹田和夫のクリエイションは元々ブルース・クリエイションと名乗っていた位のブルース・バンドだったが、80年代に入るとメンバー・チェンジも進みそのサウンドはフュージョン的な明るさを持つようになる。ドラマーにアイ高野が加わるとそのヴォーカルをフィーチャーして「ロンリー・ハート」というヒットも飛ばしている。
アダルト・コンテンポラリー路線としてはなかなかしっかりした布陣だったのだ。

エディのヴォーカルは元々透明感のある声なので、なかなか聞きやすく、悪いアルバムではない。ただ、エディがそれにはまるかどうかは別問題で^^、「BLUE JADE」と「Neon City」の両アルバム共に作風・ヴォーカル共に少し上滑りな印象を受ける。エディ藩を素材にしたアルバムではあるが、エディ藩のアルバムではない感じがするのである。 「エディ藩でどんな人?」と聞かれた時に、「まぁこれを聞いてみて下さい」といえるかどうかという意味で違和感があるのだ。

歌詞についても、大人の恋を歌っている訳だが、ちょっと絵に描いた様な風景に思えてしまう。ヴォーカルがきれいな分、ますます浮いてしまうのかもしれない。
今のエディであれば、年輪を重ねた分ここら辺りの雰囲気がもっとこなれているのではないだろうか。

例えば「横浜ホンキートンク・ブルース」は確かに名曲である。
ただここでの演奏はまだ少し若過ぎるという感じがする。エディ藩をしてさえも若過ぎるのである^^。最近は再結成カップスの「ワン・モア・タイム」や新アルバム「Another Better Day」、そしてライヴ演奏でもこの曲を聴く機会が増えているが、今の歌の方が味わいが深いと思う。
若き日に比べメイジャーな意味での成功は収めていないかもしれないが、エディ藩というブルース・ミュージシャンは確かに芳醇に熟成してきているのだと思う。

こう書くとこのアルバムを褒めていない様だが、「ルート66」とかアルバム最後の「Blue Jade」等優れた曲も散りばめられており、気持ちよく聴けるアルバムである。 

 

Jacket/Liner ジャケットは ブルーのサテンの上に翡翠(Blue Jade)の指輪を嵌めた赤いマニュキアの女性の左手の写真で、アダルトな感じを出している。

ライナーは歌詞のみ。

 

Version 当初はLPとカセットでの発売。90年10月24日に「Blue Jade」とカップリングでCD復刻されたが現在は廃盤。

 

Writer/Editor 高崎勇輝
Special Thanks to くまさん

   

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本コラムは非営利の個人である高崎勇輝がレコードの批評を目的として作成したものです((c) 2003 by 高崎勇輝 All rights reserved)。
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