ヘイ・ジョー (Hey Joe)

クレジット Hy Zaret-Alex North
収録アルバム/メンバー ザ・ゴールデン・カップス アルバム 第一期ゴールデン・カップス(MarkI)
コメント カップスの1stアルバム(ザ・ゴールデン・カップス アルバム)に収録されている。

「ヘイ・ジョー」は一般的な知名度は低いが、ロックの古典的な曲として実に様々なアーティストにカヴァーされている。
クレジットはビリー・ロバーツ(Billy Roberts)となっているがチェスター・パワーズ(Chester Powers)とクレジットされていることもあり、真実は定かではない。ちなみにチェスター・パワーズは「クイックシルヴァー・メッセンジャー・サーヴィス(Quicksilver Messenger Service)のシンガーだったディノ・ヴァレンティ(Dino Valente)の別名である。

最初のレコーディングは65年の「ザ・サーファリズ(the Surfaris)」によるもので、65〜66年の2回に渡り「ザ・リーヴズ(The Leaves)」も録音している。リーヴズの2回目の録音はファズ・ギターを使ったサイケなもので、これがアップテンポ版のベースと言えるだろう。「バーズ(The Byrds)」もアルバム「フィフス・ディメンション」やライヴ等でこの曲をカヴァーしていた。

66年にティム・ローズ(Tim Rose)がこの曲のキーを変えてテンポを半分にし、いくつかのヴァースを書き加えてスロー・ヴァージョンを製作した。これを67年にジミ・ヘンドリック(Jimi Hendrix)がカヴァーしてヨーロッパでヒットさせ、これ以降はスロー・ヴァージョンの方がより有名になっている。
ディープ・パープル(Deep Purple)がセカンド・アルバムで、またレッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)がライヴでカヴァーしているのもこのスロー・ヴァージョンである。

カップスのレコード・ヴァージョンはアップテンポ版で、ケネス伊東のヴォーカルがフィーチュアされている。 ケネスはこういうガレージ系の曲で持ち味が生きるタイプであった様で、1stアルバムのオリジナル「LSDブルース」も彼の手によるものである。
しかしこの「ヘイ・ジョー」で特筆すべきなのは、ルイズルイス加部のベースである。「ぶぼぶぼぶぼぶぼ」と低音域をのた打ち回るベースラインは、同じアップテンポ版のリーヴズ版やバーズ版を凌駕している。
「ロック画報」12号の加部のインタビューによれば、レコード・ヴァージョンは「シャドズ・オヴ・ナイツ(Shadows of Knights)」をベースにしているらしい。中盤にサイケなブレイクが入っているのは、まぁ時代を反映したご愛嬌と言うべきであろう^^。

この曲はエディ藩とケネス伊東が脱退した後もマモル・マヌーのヴォーカルで演奏していたらしい。上述の加部のインタビューでは「マモルがジミ・ヘンのスローな感じで歌ってた。俺がギターやってる頃かな。」と語っている。

 

その他    
Writer/Editor 高崎勇輝
Special Thanks to くまさん
STEVE RATさん
「日本ロック紀GS編」黒沢進氏著
「ロック画報12」(BI Press刊)
「ザ・ゴールデン・ボックス」(P-VINE RECORDS)ライナーノーツ

 

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本コラムは非営利の個人である高崎勇輝がレコードの批評を目的として作成したものです((c) 2003 by 高崎勇輝 All rights reserved)。
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