ザ・ゴールデン・カップス アルバム/The Golden Cups Album

ザ・ゴールデン・カップス

Release 1968年3月10日 東芝/Capitol   CP-8439/WTP-60425/TOCT-8706/TCOT-10130/PLP-7713/TOCT-25335/TOCT-25381
Chart Action なし。
Produced by 安海勲(Direction)。
Engineered by 不明。
Arranged by ザ・ゴールデン・カップス/鈴木邦彦
Member Cups-Personnel : Mark I
デイヴ平尾: Vocal
エディ藩: Guitar, Vocal
ルイズルイス加部: Bass, Vocal
ケネス伊東: Guitar, Vocal
マモル・マヌー: Drums, Vocal
不明: Drums(スタジオ・ミュージシャン/銀色のグラスでドラムを担当)
鈴木邦彦: Keyboards
  
Songs 1.いとしのジザベル/Jezebel
2.青い影/A Whiter Shade of Pale
3.モジョ・ワーキング/Got My Mojo Working
4.アンチェインド・メロディ/Unchained Melody
5.恋のあやつり人形/I'm Your Puppet
6.ヘイ・ジョー/Hey Joe
7.銀色のグラス/Love is My Life
8.マイ・ガール/My Girl
9.アイ・フィール・グッド/I Feel Good
10.サーチン・フォー・マイ・ラブ/Searchin' For My Love
11.LSDブルース/LSD Blues
12.ドゥ・ユー・ノウ・アイ・ラヴ・ユー/Do You Know I Love You
13.陽はまた昇る/Hiwa Mata Noboru
  
Comments ゴールデン・カップスの1st アルバム。 

ギターの音の歪ませ方、チョーキングのやり方から全てを手探りで掴もうとしていた日本のロック黎明期の名盤。

カップスは横浜でR&Bを演奏するバンドとして知られていた。
デビュー・シングル「いとしのジザベル」は哀愁GS的な名曲だったが、デビュー・アルバムはバラエティに富んだR&Bのカヴァーと哀愁GS的な日本語シングル曲、そして当時の音楽の「証言」とも言えるオリジナルという3つのカテゴリから構成されている。
カップスは当時のGSとしては珍しく、アルバム志向のバンドとして知られる様になるが、それは1stアルバムで既に始まっていた。

「天使はブルースを歌う」によれば「マイ・ガール」はレコード会社(東芝)が日本で売るためにカップスにレコーディングさせたことになっているが、当時モータウンの日本での販売権は日本ビクターが持っていたはずであり、何故東芝キャピトルのカップスがその販促をやらねばならないのか今一つ良くわからない(エディ藩は「ロック画報12」のインタビューでも同じことを言っている)。 ミッキー吉野「日本ロック大系」で「ギミ・リトル・サイン」につき同様のことを語っているが、こっちの方は東芝のレコードなので意味は通る。

「ロック画報12」でのルイズルイス加部のインタビューによれば、「銀色のグラス」でのドラムはマモル・マヌーではなくスタジオ・ミュージシャンが叩いているらしい。また同誌でのミッキー吉野のインタビューによれば、「青い影」等このアルバムで聞けるキーボードを演奏しているのは鈴木邦彦だそうな。

1stに多く収められている黒人音楽としてのR&Bは主にシンガーであるデイヴ平尾の好みによるものらしい。プレイヤーとしてエディ藩はむしろバターフィールド・ブルース・バンドやキャンド・ヒートの様な白人がR&Bを解釈して演奏するホワイト・ブルースへ傾倒していく。
この流れは、英米でのロックの流れを数年遅れで(意識せずに)再現していると考えられないだろうか。
初期のビートルズやローリング・ストーンズは黒人音楽への憧れが強く、所謂「黒っぽい」サウンドを強く打ち出していた。60年代半ばから「ロック」が成人して独自の道を歩き出すと、オーティス・レディングの様な黒人ソウル・アーティストがビートルズやストーンズをカヴァーしたり、ヤードバーズやクリーム等ホワイト・ブルーズがシーンの主流となる等の動きが出てくる。
カップスの1〜4枚目のレパートリーの変遷はこれを凝縮したものなのではないか。

このアルバムはサウンド的にはまだこなれていない部分が多くギターの音もファズでチープに歪ませているのだが、逆にそれがガレージ・マニアに受けており海外での評価は3枚目以降よりも1・2枚目の方が高いらしい。

 

Sound 外部作曲家のオリジナル いとしのジザベル/銀色のグラス/陽はまた昇る
メンバーのオリジナル LSDブルース/ドゥ・ユー・ノウ・アイ・ラヴ・ユー
R&Bのカバー 恋のあやつり人形/マイ・ガール/アイ・フィール・グッド/サーチン・フォー・マイ・ラブ
ホワイト・ブルース(またはブルー・アイド・ソウル)のカバー 青い影/モジョ・ワーキング/アンチェインド・メロディ
サイケロックのカバー ヘイ・ジョー
Jacket/Liner ジャケット写真の撮影は、横浜の外人墓地で行われた。 
メンバーの服とタイトル文字の歪みがサイケである^^
P-VINEのアナログ復刻盤は帯のカタカナ文字まで歪めている^^ ^^。

 

Version 当初は東芝Capitolでの発売(CP-8439)。後に東芝EMIで復刻されている(WTP-60425)。
CDで4回復刻されている(94.12.14/98.3.18/04.2.25/04.6.30)他、ザ・ゴールデン・ボックスにも収録されている。
96年にはP-VINEよりアナログ盤が復刻されている(PLP-7713)。
またTOCT-25335(04.2.25)とゴールデン・ボックス収録版は紙ジャケ仕様である。

 

Writer/Editor 高崎勇輝
Special Thanks to くまさん
STEVE RATさん
「日本ロック紀GS編」黒沢進氏著。

02-goldencups1.jpg (10195 バイト)   

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本コラムは非営利の個人である高崎勇輝がレコードの批評を目的として作成したものです((c) 2003 by 高崎勇輝 All rights reserved)。
ここでのジャケット写真掲載については、日本国著作権法第32条(引用)に留意の上この範囲内に収まるものと考えておりますが、もし関係者の方でご 意見がございましたら 高崎までご一方頂ければ幸いです。